今思うとイーサンは夜会での振る舞いも堂々としていたし、平民出身の冒険者ではあれは有り得なかった。

「ゴールセンの……ランチェスター。そうなのですか。あの、彼はもしかしたら、お嬢様とは……?」

 やはり、ランチェスターの名前を知っていたらしいエーリクは、私たち二人の関係性を尋ねたので微笑んで頷いた。

「あの……ヘイスターの国王陛下に許されて、婚約する事になるわ。彼が私の後見人になるから。叔父はこの邸から出て行く事になるわ。私の代理人は私たちの子どもに継がせるまでは、彼になるから……エーリクにこれまで通り、家のことは任せる事になるわ」

 イーサンはゴールセン王国の辺境伯となるので、ヘイスター王国の侯爵位は継げない。けれど、私の息子であれば話は別だ。万が一、息子が生まれずとも、私の血を受け継いでいれば、継承権は引き継がれる。

 私がずっと思い悩む原因となっていたオブライエン侯爵家のことは、これで解決することが出来た。

 ジョス叔父様たちについては、イーサンが国王陛下にドナルドの犯行などの事情説明をしていて、今は捕獲されている。