「……ここだっ!」

 隠れて泣いていた洋服箪笥(クローゼット)の扉が、いきなり開かれて、まさかそんなことが起こると思っていなかった私は両手で覆っていた顔を上げて呆然とした。

「……!」

「わ」

「女の子……?」

「っ……すみません」

 窓からの逆光で影となり表情ははっきりとわからないものの、困惑している三人の男性は、こんな場所に人が居るだなんて思っても居なかったらしい。

 そして、隠れていた私だって誰かが扉を開くなんて、全く思ってもいなかった。

 あり得ない事態が起きて、三人はとても驚いている。彼らとは違う角度から同じ理由で、私だって驚いている。

 全員の動きが固まってしまっていた。まるで、時が止まってしまっているかのようだった。

 彼らの背後にはあまり使用されていない部屋独特の白い埃が舞い上がり、差し込んだ光にキラキラしている。

 もしかしたら、豪華なドレスで着飾り、どこからどう見ても貴族である私が、こんな場所で泣いていたことも、彼らが驚いている一因となっているかもしれない。