伯爵令嬢になった世界では大切な人に囲まれ毎日が輝く2

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「もし私がフレッドのことを好いているかもしれないって言ったら…、フレッドは迷惑に思う?」

 図書館からの帰路、そして屋敷に帰って来てアフタヌーンティーの時間になりルエお手製のクッキーを前にしても、アンリの表情は浮かないままだった。いつもなら甘いモノを口にした瞬間、特段幸せそうな表情を見せてくれるというのに。
 もしや体調が優れないのではと心配になっていると、何の前触れもなくアンリは俯きがちに聞き出す。

 一瞬、何を言われたのか理解できなかったが、聞き返す前に「私、フレッドのことが好きみたい」と今度は綺麗なブルーの瞳でフレッドの目を見つめながら言う。

「えっと…、ごめん。私…」

 アンリはすぐにハッとすると顔を青くして狼狽し始める。だが、アンリに想いを寄せられて、ましてや気持ちを伝えられて迷惑に思うわけがない。

「迷惑じゃないよ」

 そう言ってみるが、アンリの瞳には薄らと涙が浮かんでいる。アンリは今まで人を好きになったことがないと言っていたし、自分でもどうすれば良いのか、分からないのだろう。
 だからこそ、同じ気持ちだということがしっかりと伝わるように、アンリを諭すように再び口を開く。

「アンリに好かれて迷惑なわけがないよ。むしろ僕からもっと早くに伝えるべきだった。僕にとってアンリは誰よりも大切でかけがえのない人なんだ。ごめんね、僕は弱虫だから好きだって伝えるのが怖くて…」

 本当は気持ちを自覚した時点で、僕から打ち明けるべきだった。もし気持ちを伝えてアンリに距離を置かれてしまったらと、余計な心配をして気持ちを内側に秘め続けたせいで、目の前の大切な人にこんな表情をさせてしまった。

 フレッドが思っていたことを全て打ち明けると、アンリは目を見開いた後、目元に溜まっていた綺麗な雫を流し、これまで見た中で一番可愛らしい表情で笑ってみせる。

「アンリ、好きだよ。僕もアンリのこと、他の誰にも取られたくない」