伯爵令嬢になった世界では大切な人に囲まれ毎日が輝く2

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 ザックが朝一番にラウンジの予約をしてくれたおかげで、ラウンジはアンリ達五人の貸し切り状態だ。目の前に並ぶ相変わらず美味しそうな創作料理に目を輝かせながら、一口一口食べ進めていく。

「ほんとアンリ様は美味しそうに食べるな」
「ね!アンリちゃんと一緒にご飯食べるとやっぱり僕まで幸せな気持ちになるよ~」
「さっきまであんなに一人で焼き菓子食いまくってたのに、ほんとお前はよく食うよな」
「だってみんなと一緒に食べると楽しいし、余計に美味しく感じるんだもん」

 この世界に来るまで食事なんて何も考えずに適当に済ませていたし、何かを食べて感動することも無ければ、美味しいと思うことも無かった。でも今なら分かる。何を食べるかでは無く、誰と食べるかで美味しさがこれだけ変わる。そしてこれだけ料理が輝いて見えるのだと。
 おかげでこの世界に来て食事を取ったり、お茶を飲む時間が好きになった。美味しいあまり、食べ過ぎて一年ほどで体重が増えたのも事実だが。

「フレッド?大丈夫?食欲無い?」

 右隣を見るとフォークを持つ手が止まっている上に、お皿の上の食事もほとんど減っていない。そう言えば今日一日、クイニーやミンス、ザックにばかり気を回していたが、それこそアンリがフルールやカリマーと話を終え、部屋に戻った時からいつも以上に静かで、今思えばどこか浮かない表情をしていた気がする。

「ううん、大丈夫。さっき会長さん達がくれたお菓子、食べたでしょう?だからあまりお腹が空いてないだけだよ」
「それなら良いけど…。無理はしないでね?」
「ありがとう、アンリ」