伯爵令嬢になった世界では大切な人に囲まれ毎日が輝く2

 さっきまでいつもと変わらない時間を過ごしていたというのに、フルールやカリマーと別れ部屋に戻ると何か様子がおかしい。特にクイニーにミンスにザック。

 フレッドの隣に再び腰掛けるとミンスはカウチからソファーへやって来てアンリの左側に隙間もほとんど空けずに座り直す。ザックはいつも以上に気を遣ってくれるし、クイニーに関してはずっと微笑んでいるのだ。

「みんな、何かあったの?なんか変だよ」
「僕はアンリちゃんの隣に居たいなって思ったから、こっちに来ただけだよ」

 確かにミンスはいつも通りと言われればその通りだ。こうして五人で集まるとソファーはフレッドに譲り、カウチにザックと並んで座っているが、アンリと二人の時はいつもアンリの隣に座っている。何より甘えたで元気いっぱいな犬のような性格のミンスが甘えてくるのは日常茶飯事だ。
 だからミンスについては理解出来るのだが、一番理解出来ないのは未だに微笑んでいるクイニーだ。

「ミンスくんはいつもと大して変わらないけど、クイニーはずっと笑ってるし…」
「おい、俺だって笑うだろ」
「だってなにも面白い事とか言ってないのに、そんなに私を見て微笑まれてたら不気味っていうか…。まさか、何か企んでる?」
「なんで俺に対してはそんなに警戒心剥き出しなんだよ」
「アンリ様にそう思われても自業自得としか言えないな」
「ザック、お前まで…」

 クイニー、ザック、ミンスの間にはバチバチとした空気が漂うが、当のアンリは気がつかない。
 結局その後、お菓子をお供にお茶を飲んだりゲームをする間、三人は少しでもアンリの気を引こうとするものの、三人の努力は虚しく夕食の時間になるのだった。