***
アンリが会長や副会長に連れられて廊下へ出ていくと、残された四人は顔を見合わせ微笑んでいた。
「相変わらずアンリちゃんは人に好かれるよね」
「まぁそれがアンリの良い所だな」
「そう言えばアンリ様にバノフィーくんが贈ったというブローチはスノーフレークがモチーフだったかな?」
「はい、そうですよ」
「確かスノーフレークの花言葉には皆を惹きつける魅力というのがあったな」
「確かにアンリを表現している花だな」
「さすがフレッドくん。そんな事まで考えて贈り物を選ぶなんてロマンチストだね」
そう、アンリには軽く教えたがスノーフレークには純粋、純潔、汚れ無き心、皆を惹きつける魅力という花言葉がある。
買い物に出掛け、偶然足を踏み入れた装飾品店。ブローチだけで無く髪留めやペンダント、ブレスレット、懐中時計など数多くの装飾品が並ぶ中、あのスノーフレークのブローチを目にした途端、アンリにピッタリな贈り物はこれしか無いと即決したのだ。
「…ねぇ僕、アンリちゃんに気持ち伝えたんだよね」
静かになった部屋で突如、ミンスは真剣な眼差しで打ち明けた。
ミンスが気持ちを伝えている場面にフレッドは偶然遭遇していたため、彼の突然の暴露に驚くことは無かったが、そんな事を知らないソアラとレジスは驚き目を見開く。
「なっ、お前もか」
「え?お前もって事はクイニーもアンリちゃんに告白していたの?」
「あぁ、舞踏会のファーストダンスを踊っている時に。まぁすぐに忘れてくれって言ったからアンリがどう受け止めたかは分からねぇけど」
ソアラから告白された話はアンリから聞いていたし、ソアラから「忘れてくれ」と言われ、どうするべきなのか悩むアンリに相談まで受けた。なにより普段のソアラを見ていればアンリに気持ちを寄せている事など一目瞭然だ。
だが実際に本人の口から聞くと胸の奥が締め付けられるような痛みに襲われる。
ミンスの隣に座り大人しく話を聞いていたレジスはその場で静かに溜息を吐く。
「なんだ、揃いも揃って…」
「良いだろ、別に。俺は思ったことは口に出すタイプなんだ」
「僕もアンリちゃんが好きだから、その気持ちを言っただけだもん」
「いや、そういう意味じゃ無い。ただ想定はしていたが、まさか二人揃ってアンリ様に気持ちを伝えていたなんて思わないだろう」
「って事はまさかザックも…?」
「あぁ、私も学祭の日に伝えた」
「は?お前も?」
「え、ザックもアンリちゃんの事が好きだったの?ザックって顔に出さないし、女の子のことを好きにならないんだと思ってた」
「失礼だな。私は二人と違って思っていることが顔に出ないタイプなだけだ」
アンリが人に好かれるタイプだというのは関わっていれば分かる。親しくなった人には特段優しいし、愛嬌があって可愛らしく笑う。そんなアンリを好きにならない方がおかしい。それにアンリが好かれるのは嬉しいことだ。
…そう思うはずなのに、胸は刃物が刺さっているかのようにズキズキと痛み続ける。
「そう言えばアンリちゃんって好きな人、居るのかな」
「いや、でもアンリ様だからな」
「だな、恋路にはあり得ないくらい鈍感だし」
「フレッドくんはアンリちゃんとそういう話はしないの?」
それまで傍観者だったというのに、いきなり話を振られると同時に視線が集まる。
胸の痛みを悟られないよう表情を変えずに口を開く。
「いえ、そういう話はしないですね」
彼らの言う様にアンリは人からの好意に鈍感だ。
それにもし、アンリが誰かに恋心を抱きそれを自覚していたとして、そんな話をいつものように笑顔で頷いて聞ける気がしない。
「おまたせ~」
話題の中心だった人物はこの場で今までどんな会話が繰り広げられていたのか気にすること無く、笑顔で副会長達に貰ったのだというお菓子をローテーブルに広げる。
そんな彼女の無邪気な笑顔や優しさが好きなはずなのに、同時にこの場でこれ以上笑わないで欲しいと思ってしまう僕はおかしいのだろうか…。
アンリが会長や副会長に連れられて廊下へ出ていくと、残された四人は顔を見合わせ微笑んでいた。
「相変わらずアンリちゃんは人に好かれるよね」
「まぁそれがアンリの良い所だな」
「そう言えばアンリ様にバノフィーくんが贈ったというブローチはスノーフレークがモチーフだったかな?」
「はい、そうですよ」
「確かスノーフレークの花言葉には皆を惹きつける魅力というのがあったな」
「確かにアンリを表現している花だな」
「さすがフレッドくん。そんな事まで考えて贈り物を選ぶなんてロマンチストだね」
そう、アンリには軽く教えたがスノーフレークには純粋、純潔、汚れ無き心、皆を惹きつける魅力という花言葉がある。
買い物に出掛け、偶然足を踏み入れた装飾品店。ブローチだけで無く髪留めやペンダント、ブレスレット、懐中時計など数多くの装飾品が並ぶ中、あのスノーフレークのブローチを目にした途端、アンリにピッタリな贈り物はこれしか無いと即決したのだ。
「…ねぇ僕、アンリちゃんに気持ち伝えたんだよね」
静かになった部屋で突如、ミンスは真剣な眼差しで打ち明けた。
ミンスが気持ちを伝えている場面にフレッドは偶然遭遇していたため、彼の突然の暴露に驚くことは無かったが、そんな事を知らないソアラとレジスは驚き目を見開く。
「なっ、お前もか」
「え?お前もって事はクイニーもアンリちゃんに告白していたの?」
「あぁ、舞踏会のファーストダンスを踊っている時に。まぁすぐに忘れてくれって言ったからアンリがどう受け止めたかは分からねぇけど」
ソアラから告白された話はアンリから聞いていたし、ソアラから「忘れてくれ」と言われ、どうするべきなのか悩むアンリに相談まで受けた。なにより普段のソアラを見ていればアンリに気持ちを寄せている事など一目瞭然だ。
だが実際に本人の口から聞くと胸の奥が締め付けられるような痛みに襲われる。
ミンスの隣に座り大人しく話を聞いていたレジスはその場で静かに溜息を吐く。
「なんだ、揃いも揃って…」
「良いだろ、別に。俺は思ったことは口に出すタイプなんだ」
「僕もアンリちゃんが好きだから、その気持ちを言っただけだもん」
「いや、そういう意味じゃ無い。ただ想定はしていたが、まさか二人揃ってアンリ様に気持ちを伝えていたなんて思わないだろう」
「って事はまさかザックも…?」
「あぁ、私も学祭の日に伝えた」
「は?お前も?」
「え、ザックもアンリちゃんの事が好きだったの?ザックって顔に出さないし、女の子のことを好きにならないんだと思ってた」
「失礼だな。私は二人と違って思っていることが顔に出ないタイプなだけだ」
アンリが人に好かれるタイプだというのは関わっていれば分かる。親しくなった人には特段優しいし、愛嬌があって可愛らしく笑う。そんなアンリを好きにならない方がおかしい。それにアンリが好かれるのは嬉しいことだ。
…そう思うはずなのに、胸は刃物が刺さっているかのようにズキズキと痛み続ける。
「そう言えばアンリちゃんって好きな人、居るのかな」
「いや、でもアンリ様だからな」
「だな、恋路にはあり得ないくらい鈍感だし」
「フレッドくんはアンリちゃんとそういう話はしないの?」
それまで傍観者だったというのに、いきなり話を振られると同時に視線が集まる。
胸の痛みを悟られないよう表情を変えずに口を開く。
「いえ、そういう話はしないですね」
彼らの言う様にアンリは人からの好意に鈍感だ。
それにもし、アンリが誰かに恋心を抱きそれを自覚していたとして、そんな話をいつものように笑顔で頷いて聞ける気がしない。
「おまたせ~」
話題の中心だった人物はこの場で今までどんな会話が繰り広げられていたのか気にすること無く、笑顔で副会長達に貰ったのだというお菓子をローテーブルに広げる。
そんな彼女の無邪気な笑顔や優しさが好きなはずなのに、同時にこの場でこれ以上笑わないで欲しいと思ってしまう僕はおかしいのだろうか…。

