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学生が揃った後、カリマーは先生と一緒に楽屋に戻って来た。そしてすぐミーティングとなった。
「みなさん、お疲れ様です。今日の舞台の振り返りなどは次回の授業で行ないます。なので今日は残りの時間、思う存分それぞれ学祭を楽しむように」
それだけを言うと先生はミーティングを閉じた。お叱りも、だからといって褒められる事も無く終わり、なんだか拍子抜けだ。
学生達は無事終わった事に一安心すると、学祭を回るために足早に楽屋から出ていく学生も居れば、楽屋に留まりお喋りに夢中になる学生も居て、楽屋内は一気に賑やかになる。
アンリもキューバやカリマーと話していたいところだが、アンリにはまだ実行委員の仕事が残っている。
賑やかな楽屋を横目に扉の方へ向かっていると、先生が扉から出て行く姿が見える。アンリは足早に先生を追って楽屋を出ると先生の背中に声を掛ける。
「先生!」
「オーリンさん、どうしましたか?」
「先生にお礼を言いたくて。私が姫役に選ばれた日、先生が言ってくれた言葉に勇気を貰いました。最初はもちろん不安もあったけど、諦めずにやり遂げて良かったです」
今でも忘れない。理解も追いついていない中、いきなり主役に選ばれたあの日。戸惑いや不安、色々な感情が渦巻いていたとき、「貴方の役は貴方だけのモノよ。貴方が作り上げたモノは誰にも真似なんて出来ない、貴方だけの財産になるわ」と先生はアンリに言った。
あの一言に勇気をもらい、頑張ってみようと最初の一歩を踏み出せたのだ。
満面の笑みでお礼を告げるアンリに、先生は目元をほんの少し緩めると首を振る。
「確かにあの時の言葉が貴方の背中を押したのかもしれない。だけど、今日まで貴方が頑張って、学祭の舞台という大舞台で素晴らしい舞台を作り上げてくれたのは、貴方自身が諦めずに頑張ったからよ。オーリンさん、よく頑張りましたね」
「ありがとうございます」
「と言っても、今回で終わるわけじゃ無い。次回の授業、今回の舞台を振り返った後は新しい演目に向けて準備をしていきますからね」
「はい!」
「ではオーリンさん、貴方も着替えて学祭を楽しみなさい」
学生が揃った後、カリマーは先生と一緒に楽屋に戻って来た。そしてすぐミーティングとなった。
「みなさん、お疲れ様です。今日の舞台の振り返りなどは次回の授業で行ないます。なので今日は残りの時間、思う存分それぞれ学祭を楽しむように」
それだけを言うと先生はミーティングを閉じた。お叱りも、だからといって褒められる事も無く終わり、なんだか拍子抜けだ。
学生達は無事終わった事に一安心すると、学祭を回るために足早に楽屋から出ていく学生も居れば、楽屋に留まりお喋りに夢中になる学生も居て、楽屋内は一気に賑やかになる。
アンリもキューバやカリマーと話していたいところだが、アンリにはまだ実行委員の仕事が残っている。
賑やかな楽屋を横目に扉の方へ向かっていると、先生が扉から出て行く姿が見える。アンリは足早に先生を追って楽屋を出ると先生の背中に声を掛ける。
「先生!」
「オーリンさん、どうしましたか?」
「先生にお礼を言いたくて。私が姫役に選ばれた日、先生が言ってくれた言葉に勇気を貰いました。最初はもちろん不安もあったけど、諦めずにやり遂げて良かったです」
今でも忘れない。理解も追いついていない中、いきなり主役に選ばれたあの日。戸惑いや不安、色々な感情が渦巻いていたとき、「貴方の役は貴方だけのモノよ。貴方が作り上げたモノは誰にも真似なんて出来ない、貴方だけの財産になるわ」と先生はアンリに言った。
あの一言に勇気をもらい、頑張ってみようと最初の一歩を踏み出せたのだ。
満面の笑みでお礼を告げるアンリに、先生は目元をほんの少し緩めると首を振る。
「確かにあの時の言葉が貴方の背中を押したのかもしれない。だけど、今日まで貴方が頑張って、学祭の舞台という大舞台で素晴らしい舞台を作り上げてくれたのは、貴方自身が諦めずに頑張ったからよ。オーリンさん、よく頑張りましたね」
「ありがとうございます」
「と言っても、今回で終わるわけじゃ無い。次回の授業、今回の舞台を振り返った後は新しい演目に向けて準備をしていきますからね」
「はい!」
「ではオーリンさん、貴方も着替えて学祭を楽しみなさい」

