開演の三十分も前、フレッド達はまだほとんど観客も集まっていない大講堂のボックス席にやって来ていた。
アンリが満面の笑みを浮かべて大講堂へと向かっていったものの、残された四人はアンリ抜きで行きたい場所も特に無く、アンリを追うように大講堂へ向かったのだ。
今はまだ緞帳が閉じているため中の様子を伺うことは出来ないが、おそらく既に舞台の準備がされているのだろう。
「どんな演目なんだろうね」
「さぁ、俺達には教えてくれなかったからな」
「バノフィーくんは何か聞いていないのかい?」
「いえ、僕にも教えてくれませんでした。当日のお楽しみだと言って」
「フレッドくんにも秘密にするなんて珍しいね」
「アンリ様はバノフィーくんになら、なんでも話しているイメージだったから意外だな」
「それほどバノフィーにも楽しみにしておいて欲しかったんだろ」
アンリは昨夜、夕食を食べた後も緊張した素振りを見せず、それどころかフレッドや旦那様、奥様に「明日の舞台は絶対に来てね」「楽しみにしていてね」とひたすら繰り返していた。
興奮気味に話すアンリと、アンリに対しどこか嬉しそうに優しい微笑みを向ける旦那様や奥様。そんな一連の光景を見ていたフレッドまで温かく、そして幸せな気持ちになったのを覚えている。
アンリが満面の笑みを浮かべて大講堂へと向かっていったものの、残された四人はアンリ抜きで行きたい場所も特に無く、アンリを追うように大講堂へ向かったのだ。
今はまだ緞帳が閉じているため中の様子を伺うことは出来ないが、おそらく既に舞台の準備がされているのだろう。
「どんな演目なんだろうね」
「さぁ、俺達には教えてくれなかったからな」
「バノフィーくんは何か聞いていないのかい?」
「いえ、僕にも教えてくれませんでした。当日のお楽しみだと言って」
「フレッドくんにも秘密にするなんて珍しいね」
「アンリ様はバノフィーくんになら、なんでも話しているイメージだったから意外だな」
「それほどバノフィーにも楽しみにしておいて欲しかったんだろ」
アンリは昨夜、夕食を食べた後も緊張した素振りを見せず、それどころかフレッドや旦那様、奥様に「明日の舞台は絶対に来てね」「楽しみにしていてね」とひたすら繰り返していた。
興奮気味に話すアンリと、アンリに対しどこか嬉しそうに優しい微笑みを向ける旦那様や奥様。そんな一連の光景を見ていたフレッドまで温かく、そして幸せな気持ちになったのを覚えている。

