「……本当に、きれいですね」
リアがそう言うと、マリナは笑ってうなずいた。
「リアの声、とても楽しそう。よかったわ」
ふたりで並んで歩いていたとき──
「あっ、リア!」
ミナが気づいて駆け寄ってくる。
「こんにちは! マリナさん! リア、来てたのね。紹介するわ。こちら、リゼット」
「初めまして、リアちゃん! リゼット・フローレです! ミナやイファから話は聞いてるよ! あ、オルレアンのお菓子のお店、知ってる?」
ふわふわの巻き髪、くりくりとした大きな目。
太陽みたいな笑顔の女の子だった。
「……はい、あのパン屋さん、ですか?」
「そうそう! あれ、うちのお店なの! いつもは市場にもお店を出しているんだけど、今日は屋台も出してるから、あとで絶対来てねっ!」
「今日は屋台にあんた、いないじゃないの」
「あはは〜! ミナ鋭いねぇ! 実は、今日はね、これから舞台で踊るんだ!」
「……?」
「わたし、今年の、水の巫女なの」
えへへ、と照れ笑いを浮かべるリゼット。
「もしよかったら、ミナと一緒に見にきてね!」
「はいはい、リゼットったら……勧誘しないの!」
楽しそうに笑うミナとリゼット。
不思議と、リアの口角は微かにあがる。
「ふふ。リア、お友達ができて良かったわ。私は、ちょっと疲れちゃったから……今日は先に帰るわね」
マリナがそう言って、そっとリアの背中を押す。
「みんなで、楽しんでいらっしゃい」
リアは、こくりと頷き、ミナとリゼットと並んで歩き出した。
