一通り回想を終えたところで、心は全く落ち着いてくれない。それどころか、大志と事故チューとはいえ、キスしてしまった実感がどんどん大きくなっていった。
(くっそう! なんで俺がこんなに悩まないといけないんだよ! だいたい大志のヤツ、姿勢低くし過ぎじゃねえの!? 俺普通に横向いただけだぜ? どうやったら24センチも身長差があるのに、大志と俺がキスする世界線になるんだよ!)
『明日の放課後、教室に行きます!』
 ふいに大志の声が耳元でよみがえった。
(そうだ。明日から勉強見てやる約束してるんだった)
 大志の小テストを見せてもらったが、10点満点中5点未満がほとんどだった。おそらく勉強の手助けをしてやらないと中間テストで赤点を取る可能性が高い。
「はあああああ」
 俺は声に出して溜息をついた。
(明日からどうすりゃいいんだ……)