「慰めの言葉を、ありがとう……だがお前も、俺のことを馬鹿だと思ってるんだろ?」

 鋭い眼光を放つ青い目で見つめられ、私は両手を振って逃げ出したくなった。

「そそそ、そんなこと、思って……ないですよ?」

「嘘が下手なんだ。なんだ。その言い方は。目だって泳いでるし……絶対に俺を馬鹿な男だと思っている。演技は下手で見ているだけで、心の中が伝わる……悔しい。恥ずかしい……死にたい。全部一からやり直したい……」

「待ってください! 私はロシュ殿下のこと、馬鹿だなんて……思ってないです!」

 とてつもなく不憫で、とてもとても可哀想だとは思っていますが!

「では、失恋したから、可哀想か? 俺が一人取り残され、哀れだと?」

 自嘲するようなロシュ殿下の笑みを見て、私は自分がやっちゃったかもしれないという現状を把握した。

 うわー……この落ち込みようは、私の思っていたよりひどいかも。

 あの失恋は、やっぱりそれほどに大ショックだったんだ……そりゃ、そうだよね。

 異世界から現れた聖女様が俺の運命の人だって……あれほど彼女と一緒に居ると、恥ずかしげもなくこの人は公言してたもんね。