「俺は誤解されることは、別に構わない。自分が悪く言われることもそうだが、良く言われることについてもあまり興味はない。なぜなら、俺は俺が今回したことについて後悔は何もないからだ。仲の良いジェシカと国を救ってくれたサトミが幸せになり、二人は俺にありがとうと感謝してくれた。他の誰が何を言おうが、自分が満足しているなら、それが一番大事なんだ。誰にもわかって貰う必要などない……違うか?」

「いいえ。その通りです。殿下……尊敬します。私にはとてもできないので」

 利他の精神と自分は何を言われても構わないと言える豪胆さ。彼こそ王族にふさわしい人なのだわ。顔を上げればロシュ殿下は先ほどの情けない様子とは違う、圧倒的な王者の風格を纏っていた。

 その時に私は、気がついてしまった。

 殿下がここで海を見ながら黄昏ているのも、ただの演技の一環で二人の女性が幸せになれば、自分は悪く言われても良いと思っているから……それっぽく見せているだけ。

「これは、絶対に秘密にしてくれ。墓まで持って行ってくれよ。誰かに知られれば、面倒なことになるからな」

「もちろんです! 私は口が固くて、有名ですから!」