「それで、良いんだ。そう誰もが誤解して貰えるように、俺は動いた。将来的に若い時は少々馬鹿をしたらしいが、今はまともらしいと言われる程度だ。別に良いだろう」

「殿下……」

 私はそれ以上何も言えず、なんとも言えない気持ちでいっぱいだった。だって、それって彼が損してることで、二人は幸せなのに彼はそれで良いと言って居る。

「人の本質を見ることもなく、誰かを馬鹿にする奴には馬鹿にさせておけば良い……そちらの方が、人を容易に見られると思わないか。現に君は俺が馬鹿で嫌な男だと思っても、慰めてくれようとした訳だ」

「ですが! 私は殿下が素晴らしい方なのに、今回の件で悪く言われることが嫌です……本当は違うのに。それは、人を救う良い嘘ではあると思います。二人は幸せになります……けど、いつかは真実として伝えるべきなのでは?」