「あの婚約破棄をする前に、俺たちは相談していた。そうしたら、幼馴染のジェシカは好きな男と結ばれることが出来る。もしかしたら、ジェシカに対する良くない言葉を噂で聞いていたかもしれないが、あれは俺の本心ではない。彼女は聡明で王妃となるのに相応しかった女性だ。俺にとっては姉のような存在で、そもそもサトミにも嫌がらせはしていない」

 は? サトミ様に嫌がらせも……していないですと?

 いや、私もなんだか異世界転移してやって来た聖女を運命の人と言い出す王子様の役割で、なんだか誤解していた? 結びつけて、そういうことだろうって思ってた?

「……え? あ……けど、サトミ様は? どういうことですか? だって、これでいくと彼女も知ってないと……」

「その通り。聖女サトミも協力者なんだ。あの子は国を救ってくれた平和の象徴で、ジェシカは側妃にするからと俺の王妃として結婚するように父から要求されていたんだが、それは絶対嫌だと断っていたんだ」