Trap girl


 やけに頭がズキズキ痛む。
「……」
 瞼を開けると、そこは白いベッド上だった。
「ッ!」
 ガバッ。慌てて跳ね起きると、ウェイキンは忙しなく周りを見渡した。
「?」
 殺風景な薄暗い部屋。一台のノート型パソコンが低音を唸らせている。
 画面の青白灯が反射する剥き出しの床板には、散らかった女物の下着。
 ジャー。
 部屋の片隅で、扉の中からシャワーの水流が聞こえてくる。
「……」
 ベッドを降りたウェイキンは、魅入られる様にしてその画面に近づく。
 画面上には無数の数字が踊り、リアルタイムで忙しなく変動している。
「レートか?」
 カチカチ――。
 適当にカーソルをクリックする。画面表示がパッと切り替わった。
「?」
 不審げに中を覗き込むウェイキン。
 表示された世界地図の各部で、局地的に赤い丸印が集中している。
 カチカチ。
 赤丸の一つをクリックすると、パッ、パッ――。
 次々と画面が切り替わり、見たこともない写真やデータが細かくコマ割り表示されてゆく。
 その内の一つに、ウェイキンは見覚えがあった。ビッグボスの写真、その愛車のベンツだ。
「何だ……?」
 カチ、カチカチッ。
 何時しかシャワーの音が止まっているのにも気づかず、ウェイキンは画面に釘付けになる。
 ガチャ――。ドアノブを回す音。背後で扉が開かれる。
「ッ!」
 バッ――。驚きに瞠目し、即座に後ろを振り向くウェイキン。
 薄闇の中を、画面の白色灯を浴びる金髪の少女が立っていた。