ぼくがじっとりとした視線を送っても、竹下くんはからかうのをやめてくれず、ぼくたちはそのまま一緒に下校した。あんまりしつこいから「付き合ってない」とだけ訂正しておいたけど、そうしたらそうしたで「絶対両思いだから告白しろ」「諦めるな」と熱いエールを送られてしまい、家につく頃には、ぼくは本当にくたくたになってしまった。
竹下くんの応援は嬉しかった。「絶対に両思い」って言葉も、ちょっと前なら――先輩に原稿を見られてしまう前のぼくなら、もしかしたらもしかするかもって信じることができたかもしれない。
だけどやっぱり、あんな小説を読まれてしまったんだから、もう駄目だろうなって思う。
原稿を見られてしまったことは作品の中には書いてないし、直接話したりもしていない。
だから竹下くんは、そのことについてはなにも知らないんだ。もし知ったら絶対、「あー。それは残念だけど、ちょっと厳しいかも」って言うに決まってる。
……だからさ、もういいんだ。
この二週間、あの小説の続きを書きながら、ぼくは色々なことをたくさん考えた。
それで、わかった。この恋はもう、終わりにするしかないんだって。
ぼくにとって灰崎先輩は、ずっとずっと憧れていた人で。そんな人がたまたま、自分の家に来て、一緒に暮らすことになって。家庭環境も近くて、自分にだけ気を許してくれているような感じがして……つい、好きになっちゃったけど。
でも本当なら、灰崎先輩はそもそも、ぼくとは全く別世界の人間なんだ。すごく綺麗な顔立ちで、ずっとモデルをやっていて、撮影以外で人と話すとすぐに赤くなっちゃうって悩んでいたけど、でも今はもうちゃんと、ランウェイを歩く覚悟も決めている。
竹下くんに見せてもらった灰崎先輩の写真を、ぼくは思い出す。ロリータの魔法がなくても、先輩はモデルとしてきちんと仕事をこなしていた。先輩の素の笑顔は、もうぼくだけのものじゃない。
ぼくはそれがすごく寂しくて――でも心の底から、よかったって思った。先輩がやりたいことに挑戦できてよかった。苦手を克服して、次の舞台に進むことができてよかった。
だからぼくも、いつまでも悩んでいないで、前に進もうって思ったんだ。
竹下くんの応援は嬉しかった。「絶対に両思い」って言葉も、ちょっと前なら――先輩に原稿を見られてしまう前のぼくなら、もしかしたらもしかするかもって信じることができたかもしれない。
だけどやっぱり、あんな小説を読まれてしまったんだから、もう駄目だろうなって思う。
原稿を見られてしまったことは作品の中には書いてないし、直接話したりもしていない。
だから竹下くんは、そのことについてはなにも知らないんだ。もし知ったら絶対、「あー。それは残念だけど、ちょっと厳しいかも」って言うに決まってる。
……だからさ、もういいんだ。
この二週間、あの小説の続きを書きながら、ぼくは色々なことをたくさん考えた。
それで、わかった。この恋はもう、終わりにするしかないんだって。
ぼくにとって灰崎先輩は、ずっとずっと憧れていた人で。そんな人がたまたま、自分の家に来て、一緒に暮らすことになって。家庭環境も近くて、自分にだけ気を許してくれているような感じがして……つい、好きになっちゃったけど。
でも本当なら、灰崎先輩はそもそも、ぼくとは全く別世界の人間なんだ。すごく綺麗な顔立ちで、ずっとモデルをやっていて、撮影以外で人と話すとすぐに赤くなっちゃうって悩んでいたけど、でも今はもうちゃんと、ランウェイを歩く覚悟も決めている。
竹下くんに見せてもらった灰崎先輩の写真を、ぼくは思い出す。ロリータの魔法がなくても、先輩はモデルとしてきちんと仕事をこなしていた。先輩の素の笑顔は、もうぼくだけのものじゃない。
ぼくはそれがすごく寂しくて――でも心の底から、よかったって思った。先輩がやりたいことに挑戦できてよかった。苦手を克服して、次の舞台に進むことができてよかった。
だからぼくも、いつまでも悩んでいないで、前に進もうって思ったんだ。


