その後三日間、ぼくは頑張って書きかけの小説の続きを考えた。だけど灰崎先輩、もとい灰崎先輩をモデルにしたヒーローの考えてることがさっぱりわからないから、続きも全然書けなくて。
「続きが思いつかない」って竹下くんに相談したら、「じゃあとりあえず、今書けてる部分を推敲したら?」って返された。推敲っていうのは、自分で書いた文章をもう一度読み返して、誤字脱字のチェックをしたり、表現を整えたりする作業のことだ。
ぼくはドキドキしながら、目の前のコピー機を見つめる。排出口からは、シュッ、シュッと一定の速さで白い紙が飛び出してくる。
……ネットプリントとか、初めてやった。
竹下くんはいつも、一度紙に文章を印刷して、それを読みながら推敲をしているらしい。だからぼくも、同じようにやってみようと思って、家の近くのコンビニのマルチコピー機で書きかけの作品を印刷している。
ピロロンと印刷完了の音が鳴ったので、ぼくは恐る恐る原稿に手を伸ばした。印刷が終わったばかりの紙はホカホカと温かく、端を揃えつつ表面を見れば、まるで本当の本みたいに黒い文字が整然と並ぶ。
ふわっと、不安だらけだった気持ちが浮き上がる感じがした。なんかこれ、けっこう嬉しいかも。
――でも俺はいつか、ニレの小説読んでみたいよ。
ふいに、前に崎灰先輩に言われた言葉を思い出して、じわっと胸が熱くなった。もし、もしも。もしもぼくが、いつか、小説家になるなんてことがあったら。その時は勇気を出して……。
そこまで考えて我に返り、ぼくはぶるぶると首を左右に振って都合の良すぎる妄想を振り払った。こういうのを、多分そう、「取らぬ狸の皮算用」って言うんだ。
そもそもこの小説だけは、絶対に先輩に見られるわけにはいかないんだし。
そう思うと、浮ついていた気持ちに緊張感が戻ってくる。まずはこの作品を、きちんと最後まで書いて応募すること。あとは絶対に、この原稿を先輩に見られないようにすること。
ぼくは持参したクリアファイルに原稿をしまいながら、心の中で何度も唱えて決心を固くした。
……はず、だったんだけど。
「続きが思いつかない」って竹下くんに相談したら、「じゃあとりあえず、今書けてる部分を推敲したら?」って返された。推敲っていうのは、自分で書いた文章をもう一度読み返して、誤字脱字のチェックをしたり、表現を整えたりする作業のことだ。
ぼくはドキドキしながら、目の前のコピー機を見つめる。排出口からは、シュッ、シュッと一定の速さで白い紙が飛び出してくる。
……ネットプリントとか、初めてやった。
竹下くんはいつも、一度紙に文章を印刷して、それを読みながら推敲をしているらしい。だからぼくも、同じようにやってみようと思って、家の近くのコンビニのマルチコピー機で書きかけの作品を印刷している。
ピロロンと印刷完了の音が鳴ったので、ぼくは恐る恐る原稿に手を伸ばした。印刷が終わったばかりの紙はホカホカと温かく、端を揃えつつ表面を見れば、まるで本当の本みたいに黒い文字が整然と並ぶ。
ふわっと、不安だらけだった気持ちが浮き上がる感じがした。なんかこれ、けっこう嬉しいかも。
――でも俺はいつか、ニレの小説読んでみたいよ。
ふいに、前に崎灰先輩に言われた言葉を思い出して、じわっと胸が熱くなった。もし、もしも。もしもぼくが、いつか、小説家になるなんてことがあったら。その時は勇気を出して……。
そこまで考えて我に返り、ぼくはぶるぶると首を左右に振って都合の良すぎる妄想を振り払った。こういうのを、多分そう、「取らぬ狸の皮算用」って言うんだ。
そもそもこの小説だけは、絶対に先輩に見られるわけにはいかないんだし。
そう思うと、浮ついていた気持ちに緊張感が戻ってくる。まずはこの作品を、きちんと最後まで書いて応募すること。あとは絶対に、この原稿を先輩に見られないようにすること。
ぼくは持参したクリアファイルに原稿をしまいながら、心の中で何度も唱えて決心を固くした。
……はず、だったんだけど。


