淡白なロリータ先輩はぼくにだけ柔い

 帰り道にある有名なカフェチェーンに入って、ぼくたちはパイン味の期間限定フラッペを買った。学校帰りに寄り道なんて初めてのぼくは、こうして店内の椅子に座っていてもなお、キョロキョロと落ち着かない感じであたりを見回してしまう。

 しかも目の前には、灰崎先輩の麗しいご尊顔。なんで? 本当になんで、ぼく今こんなことになってるの?

「あのう」
「ん?」
「……いえ、なんでもないです」

 急にどうしたんですか? って聞こうとしたけど、もし全部がぼくの勘違いだとしたら。

 わざわざ確認することで先輩が気にして、逆によそよそしくなってしまったら嫌だなと思って、ぼくはやっぱり言葉を飲み込んだ。

「これけっこうシャリシャリしてるんですね。あんまり飲まないから、知らなかったです」

 代わりにカップの中身をストローでかき混ぜながら笑いかけると、先輩は「俺も」と同意してくれた。

「意外と冷たくて、量も多くて……二人で一個でもよかったかな」
「確かにそうですね。そうだ先輩、お腹痛くなったりしてませんか? あんまり冷えると体にもよくないだろうし……」

 冷えは美容の天敵ってどこかで聞いたことがある気がして、それにさっき、頬に触れた指先が冷たかったのも思い出して、ぼくは咄嗟にテーブルの上に投げ出されていた先輩の手を握ってしまう。

「!」

 瞬間、ぴくっと先輩の体が震えて、ぼくもはっと我に返った。お互い目が合って、おんなじタイミングで慌てて逸らす。

「すみません、つい心配になって」
「うん。大丈夫。わかってる」

 先輩の顔を見ないにようにしながら、ぼくは必死で残りのフラッペを吸い込んだ。先輩もそれきり黙り込んでしまって、気まずい沈黙に店内のオシャレなBGMだけが虚しく響く。

 あー失敗したなって、ぼくは反省。せっかく先輩が誘ってくれたカフェ時間だったのに。