そして、ブリューナグの背に乗り、ユンカナン王国を飛び立った。私は来た時と同じように、ジェイドさんの背中へと手を回す。

 ここへ来た時と違うのは、彼の腕の中には、眠っているゲイボルグがいた。

 ここまで流れるように来たけれど、多分だけど……ノルドリア王国に着くまで、ブリューナグと一緒だよね?

 私は完全にあの黒竜がジェイドさんと話すための道具になっていますけど……?

 いや、良いんだけど。全然良いんだけど……戦闘にはまったく参加出来ないし、竜を喚ぶしか出来ないので、私の口を使っていただけて光栄ですよ。

 さっき私は好きって告白したのだから、ジェイドさんからの反応を知りたいんだけど……今ではないのかな。

「今は流石に、それは無理だろう」

 私の口が一人でに動いたので、手でパッと口を塞いだ。

 え! もう! 余計な事、言わなくて良いの~!

「何が?」

 いきなり聞こえた独り言を不思議に思ったらしいジェイドさんは、顔だけ振り向き、私は慌てて首を横に振った。

「なっ……何でもないっ……です!」

 ようやく自由になった私の口から否定を聞いて、ジェイドさんは頷いて微笑み、また前を向いた。