「……俺はそうしたいんだ。ブリューナグ。ここで俺がそうすれば、そいつらと同じ位置まで堕ちる。それは嫌だ。ゲイボルグを助けてくれて、ありがとう……ラヴィ二ア。それに、ブリューナグ。俺は、無事に助かったことを喜びたいし、出来ればすぐにノルドリア王国へ連れて帰りたい。安全な場所で、ゆっくりと眠らせてやりたいんだ」

 ジェイドさんは私とその背後に居る黒竜に、頭を下げてお礼を言った。

 その腕にはもう安心しきって、眠ってしまっている子竜ゲイボルグ……それは、そうだよね。これまで、ずっと怖かったはずだ。

 契約を結んだ大好きな竜騎士ジェイドさんにも、もう二度と会えないかもしれないと、この竜だってずっと辛かったに違いない。

「わかった……では、外に出よう。折良く、近くに騎士団が居る。それらに、ここに来るようにさせよう。今日、何が起こったのかはわからないだろうが、こやつらが何をやっていたかはすぐに露見するだろうから」

「ありがとう」

 私たちは、すぐに洞窟の外へと出た。