そして、こんな真面目なところで言い出すのも遠慮してしまうけど、そろそろ私も自由に喋りたいんですけど……無理そうですかね。

「……ありがとうございます」

 ジェイドさんはこんなにも竜位の高いブリューナグと契約することが喜びを見せることなく、すぐに洞窟の中へと視線を戻した。

 彼の心は今もあの場所で捕らえられているゲイボルグ、そのすぐ傍にある。残してきた竜が、今も何をされてしまうか、心配で心配で堪らないのだ。

 ……胸が痛い。あんなにも酷い姿を見て、彼はどれだけ傷ついただろうか。

「すぐに行くのか?」

「ゲイボルグを一秒でも、あんな場所に置いては行けません」

 ジェイドさんのさっきの言葉は、本気だったのだ。

 たった一人でも戦って、必ずゲイボルグを救い出したいと……。

 もしかしたら、このブリューナグに気に入られるくらいの竜騎士である彼には出来たのかもしれない。けれど、ジェイドさんもゲイボルグも瀕死になって、ここからどうしようもなくなって詰んでしまう。

「わかっている。私も同じ気持ちだ……行こう。悪辣な人間どもから、可哀想なあの子を解き放つ」

 ええ。こちらのとても格好良い台詞をこの私が口にしているように見えると思いますが、背後の黒竜さんの意志に基づいて行われております。