おそらく、もう長くない……ここで瀕死のゲイボルグを見捨てれば、彼の竜騎士としての地位は確保される。

 冷徹な判断だと言われようが、竜騎士ジェイドさんのその後の人生を考えれば、それが一番良い道だった。

「良い。ゲイボルグが助かるならば、俺はそれで構わない」

 ジェイドさんの視線は真っ直ぐで、揺らぐことはなかった。

 ……どうしても、何があっても、ゲイボルグを助けてみせる、と。

「それだけの、覚悟があると……?」

「そうだ。単独でも危険でもやる。必ず、助ける。すべては、ここまで何もせず、放って置いた俺の責任なのだから……ゲイボルグを助ける……なんとしてでも!」

 ……ジェイドさんはここまで、言葉にならぬほどの我慢していたのだ。

 きっとずっと、やるせなくて悲しくて辛くて泣き叫びたかったのに、彼はずっとそれを誰かに見せることを我慢していた。

 嫌われているかもしれない。何かあったのかもしれない。そう思って何を失ったとしても、彼は心を通わせた竜ゲイボルグのことを、信じて待って居た。

 すべての感情を吐き出すような叫びは、救いを求めるものだった。