あれだけ多くの素材を剥ぎ取られて、翼だって飛べるかもわからない。それなのに、一瞬の隙が命を左右する戦闘に参加することなんて、無理だと思う。

 戦闘なんてまったくの専門外の、私にだってわかることだ。本職の彼に、それがわからないはずもない。

「それでも良い……ここでゲイボルグを見捨てれば、一生後悔する」

 私がその時に見えたジェイドさんの青い目には、本気の光が灯っていた。

 ……ゲイボルグさえ助けることが出来れば、もうそれ以外はなんでも良いと。

「おそらくは、そうすれば……ここから先は、ジェイドさんは竜騎士として、もう生きられませんよ。それでも?」

 そのくらいの、大きなことなのだ。

 私はどうにかしてこの場を、収めて諦めさせようと思って、嘘を言ったわけではない。

 ゲイボルグより竜位を高い竜は、どこかに居るだろう。

 けれど、数はとても少ない。見付けたとしても、その竜に気に入ってもらわないと、ジェイドさんは契約出来ない。

 ゲイボルグに乗って飛行も出来なければ、強い竜がひそむ場所にも満足に行けないだろう。