アルドヴァルは背に人を乗せていない分、特に気を使うこともなく、ノルドリア王国へと最速で帰っているのだろう。

 もう遠い空に消えて、見えなくなってしまった。

「アルドヴァルは、良くやってくれたと思う……行こう。ゲイボルグが待っている」

 ジェイドさんは私に洞窟の中へ入ろうと促し、私は大きく頷いた。

 エクスキー洞窟は水が穿った鍾乳洞なので、そこかしこから水が落ちる音が聞こえた。

 それにしても、広い洞窟だ。大きな身体を持つ竜が入って来ても、まだまだ余裕があるほどに空間がとても広い。

「……何か、聞こえるな」

 先を行くジェイドさんが、声を抑えてそう言った。

 ただ、この洞窟を探索しているだけの人ならば、良い……けれど、もしかしたら、悪事を働くような……山賊がいるかもしれない。

 危険を感じて私たちは動きを潜め、おそるおそる前へと進んだ。

「明るい……?」

 煌々と明るい光に気が付いた私は、鍾乳洞の隙間から見える光景に驚き息を呑んだ。

 そこには……銀色の竜、ゲイボルグが居た。おそらく、その下にある巨大な魔方陣のせいか、身動き出来ないらしい。