「以前にも、お話ししましたけど……そういう色気のない発言をしていたら、男の子が寄って来なくなるので……一応は、自衛なんです。近い未来に貴族令嬢に戻るなら好かれても嫌われても困るから、どこかで、そういう自分をどこか演じているのかもしれません」

「……なるほど。俺にはまったく思いつきもしない理由で驚いたが……そういうこともあると、勉強になった」

 何度か頷いたジェイドさんは、そういう……モテ過ぎて困る案件はなかったのかな?

 ……あ。そうだった。

 この人、ついこの間まで婚約者が居たし、性格的に決まった女性を差し置いて女遊びするような人でもないから……きっと望みはないと思って、誰も寄って来なかったのね。

 なんだか、幸せになって欲しい。これまでが、とても不憫過ぎるもの……。

「そんなこんなで……すっかり、こんな風に庶民派を演じてしまうようになってしまって……まぁ、首尾良く聖女辞めたら、すぐにお淑(しと)やかな公爵令嬢に戻りますけどね」

 えへへと照れ笑いして肩を竦めたら、ジェイドさんは微笑んで頷いた。

「そうか……ラヴィ二アなら大丈夫だ。出来ると思う」