彼は竜騎士となってすぐに竜に来て貰えず、他の竜騎士団に行ったことがないだろうから、こういう反応も仕方ないかもしれない。

「竜騎士の皆さんは、身近な異性というと竜喚び聖女になりますし、それに、竜喚び聖女が伴侶であれば、色々と便利じゃないですか。私だって別に私だからモテているわけではないと理解しております」

 竜喚びが出来る妻が居れば、わざわざ竜騎士団に属する聖女にお願いしなくて良いのだ。あまり良くはないけれど、私的に喚ぶことだって出来る。

「……そういうわけでもないと思うが」

 真面目そうなジェイドさんは役に立つからという理由で伴侶を選ぶことはないだろうけれど、そういう男性も居るということだ。

 私は肩を竦めて、ぺこりとお辞儀をした。

「ジェイドさん。明日から数日、よろしくお願いします。出来るだけ……私も、協力しますから」

「ああ。ありがとう」

 ジェイドさんの目には、これまでになかった希望の光が見えていた。

 竜に嫌われているかもしれないと、悩み苦しんでいたのだから、そうでないとわかった今はようやく心の重荷を少し下ろせたのかもしれない。


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