平たく言うと、あまり人気のない任地だとしても、夫が赴任することになれば妻である聖女も付いて行くよね! という、いやらしい大人の計算も、そこには働いているのだ。

 申し訳ないけれど、私は誰かに決められた人生など歩みたくない。違う意見を持つ人も居るかもしれないけれど、私はそう思う。

 そして、天啓持ち聖女たちを管轄する『教会』の最高位教皇へと、数えきれない直談判を試みた結果。

 この『捨てられた竜騎士』ジェイド・ランバルディさんの不名誉な二つ名の原因となっている『いくら喚んでも来ない竜』を、私が喚び出すことが出来れば、私は聖女を辞めて自由にしても良いという条件をもぎ取ったのよ!

「……必ず、私が貴方の竜を喚びだしてみせます。ええ。絶対に」

「ああ。そうしてもらえると、俺も助かる……ありがとう」

 私は彼を安心させるように大きく胸を叩けば、ジェイドさんは戸惑いつつも何度か頷いた。

 今に見ていなさい。