そして、私は与えられた天啓である『竜喚び』を使った。私たち二人の触れた場所からは白い光が放たれたはずだけれど、目を閉じて集中していた。

 ああ、なんだか触れ合った部分から、溶け合うかのような感覚を覚える。手のひらだけの時よりも、もっともっと深く遠く、彼の中へと入っていく。

 ジェイドさんの中には、竜との契約がある。それを私は、共鳴させる。ここに来てと喚んでみる。

 竜が応えた。これは、いつも通り。

 手を合わせただけでは、見えなかったものが、今は……より鮮明(クリア)に見える。

 銀色の竜の背景には、ごつごつとした岩肌が見える。もしかして、洞窟の中に居るの……?

 こんなにも、喚んでも喚んでも来なかったということは、洞窟の中に迷い込んで出られなくなったのかもしれない。

 竜には光り輝く宝物を集め隠す習性があるので、洞窟に潜むことを好む。

 ……美しい、きらめく銀の鱗を持つ竜だ。

 旗? どうして。洞窟の中に、貼られた旗が見える。あの、国旗は……古いものだ。

 ……いけない。あまり長い時間を掛けて深く潜ると、戻れなくなる。