意志固くここまで待ち続けられるジェイドさんならば、旅に出てでも根気よく次の竜を探し出すことだって可能なはず。

 こんなことを言ってしまうと身も蓋もないけれど、人の男女と同じように、この世界に竜なんて星の数ほど存在するのだから。

「いや……ああ。そうだな。君の言う通りだ」

 ジェイドさんは私の発言に苦笑いをして、大きく頷くと同意してくれた。私が食べて食べてとはやし立てると、なんとか定食を完食してくれてホッとした。良かった。

 なんだか、ジェイドさんは……本当に辛そうだ。

 誰しも自分を拒否している誰かの気持ちを、直視することは怖い。これまで何度喚びかけても、竜は応えてくれることはなかったのだから。

 けれど、彼がこのままでは一歩も踏み出せないと思っているのなら、やっぱりどうにかして会うべきだと思う。

 どうしてか……来てくれない、彼の竜に。


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 そして、夕食の後、私はそのまま竜騎士寮にあるジェイドさんの部屋を訪れた。

 ちなみに聖女と竜騎士の恋は国より奨励されているので、特に何も問いただされることもなく、すんなりと入室することが出来た。