断定的な口調の言葉に、私はそんなことはないと肩を竦めた。

「確かに素敵な男性だとは思っていますけど、私は竜騎士とは絶対、結婚しないと決めているので彼は恋愛対象外です」

 もし、竜騎士と恋に落ちて結婚すれば、私は公爵令嬢に戻り王子様と結婚出来ないので、それについては断固否定します。

「あの人と恋をすれば、苦労するわよ」

 ……あ。微笑んでいるナタリアさん。もう私の話なんて、聞く気がなさそう。

 私がジェイドさんのことを好きだと、決めつけるように話さないで欲しいけど、それは無理そう。

「その……ご忠告、ありがとうございます……」

 ここでなんと言って否定しても、なんだか無駄みたいだし、とりあえずお礼を言ってこの場を濁すしかなかった。

「あの人は女性よりも、自分の竜が大事なの……貴女もそこは、覚悟をしておいた方が良いわ」

「はい……」

 私は『いや、私は別にジェイドさんと付き合う気とかないです』の言葉を、こくんと呑み込んだ。ナタリアさんの世界線では、もうそういうことになってしまっているのだと思う。