あ……ジェイドさんが夜会に現れていたということは、二人の別れの原因となった、ジェイドさんの竜が見つかったのかもしれないと思ったのね。

 そうよね。

 竜が現れなくなってから、彼はこれまで公の場にはほぼ出なかったと言うし、夜会にも出るってそういうことかもしれないと思ってしまうのも無理はないわ。

 あれは、無理矢理私が誘い出しただけなのですけれど……。

「まだですが、私がこれから、喚んでみせる予定です」

 ようやくジェイドさんが決意してくれた今夜に、私は見付ける。そのために、私の竜喚びの天啓があったのではないかとまで思う。

 自信満々の私の言葉に、ナタリアさんは少しだけ寂しそうな表情を浮かべて、ほうっと大きく息をついた。

「そう。良かったわ。ジェイドは、結婚には至らなかったけれど、大事な人だったから、どうなったのか心配だったの」

 そこで何故だか、不意打ちを食らったような感覚がした。ここに居るナタリアさんは、竜が来ない竜騎士ジェイドさんを捨てたはずだ。

 それなのに、どうしてか……そんな彼にまだ心を残しているような発言をするのかしら。