……ジェイドさんの現状を少し思い返しただけでも……うん。とっても可哀想な人だわ。

 出来れば、そんな窮状から救ってあげたい!

 その願いには私自身の利己的な動機も、過分に含むけど……!

 私が何故、このジェイドさんを救うことになったかというと……この国ノルドリア王国にいくつか点在する竜騎士団には、一騎士団必ず何人かの竜喚びの能力を持つ聖女が派遣されることになる。

 何故かというと、大きな翼で飛行することの出来る竜たちは、移動範囲がとてつもなく広い。

 だから、彼らを喚ぶ能力を持つ聖女が居なければ、竜騎士たちは竜たちの気の向くままに現れるのを待つことになる。竜喚び聖女が居れば、必要に応じて喚ぶことが出来る。

 そんなわけで、珍しい天啓を持つ竜喚び聖女は、竜騎士団には必須な人員だった。

 そして、私のように天啓を持つ子は、この国ノルドリア王国では稀に生まれる。

 その中でも『竜喚び』は発顕率が低く、それであるのに竜騎士団が活躍するノルドリア王国国防に必須とも言える天啓であった。