夜会に見た時にも美人だと思ったものだけれど、こうして昼日中に見てもその美貌は揺るがない。胸の大きさだけは、私の方が勝っています……それは、本当のことなので、言わせていただきますけど。

「あ……あの、ジェイドさんにご用ですか? 呼んできます!」

 もしかしたら、受付などでも彼の名前を言いづらく、探して中に入って来たのかもしれない。

 それは、わかる……自分が捨てた男に会いに来たなんて、言いづらいものね。

 そんな私の予想を覆すようにして、ナタリアさんは首を横に振った。

「違うわ。貴女に用事があったの。あの時、お名前を聞きそびれていたから、中に入らせてもらって……聖女が通るというここで探していたのよ」

「え? 私ですか?」

 竜騎士団でそんなことをしてまで、私に用事……? ジェイドさんの元婚約者の、ナタリアさんが?

 そういえば、あの時ジェイドさんは私のことを仕事先の人だと説明していたので、竜騎士団の『竜喚び聖女』であると踏んだのだろう。

 周囲の目を気にするように見回して、彼女は呟いた。

「あの……ジェイドの竜は、喚べたの?」