私は心に浮かんだよこしまな想いを振り切るように、首を横に振った。

 いけないいけない。ついつい、そういう方向に想像力が羽ばたいてしまった。落ち着いて、私の心に住む想像力の鳥。

「これならと思うのだが、もし、嫌なら別に手段を考えるが」

「いっ……いえ……それでいきましょう!」

 ジェイドさんの気持ちが変わらない内に、彼の竜の情報を少しでも探らなければ。

 竜が遠方過ぎる場所に居ると肌の接触面が小さいと全く情報が入らず、どの方向に居るかも曖昧なのだ。

 ジェイドさんの心の準備待ちで、ずっと停滞していたことが、ようやくこれで一歩動き出す……私としては、早く見付けてあげたいし、早く普通の貴族令嬢に戻りたい。

 二人の目的は同じ場所にある。

「それで、今夜、夕食終わりに……俺の部屋に来てくれ」

「え? 今夜ですか?」

 なるべく早くにしたいとは思うけれど、あまりにも急なことで少し戸惑ってしまった。

「そうだ。こういうことは、思いついたら早い方が良い。時間を掛けても色々と生殺しだ。すぐにしよう」

「わかりました」