竜は誰かに借りることも出来るけれど、結局のところ、戦闘訓練は自分の竜でなければ意味はないものね。

 私がここに来てから、そんなに経っていないけれど……ジェイドさんがたった一人で、汗を流している姿を良く見掛けた。

 竜が居ない竜騎士。嘲られることだって多かったはずなのに、孤独の中で良く心が折れなかったと思う。ポッと出の私だって、そう思ってしまうくらいなのだ。

 付き合う時間も長い周囲の皆は、よりそう思っているだろう。もう諦めてしまえば、苦しくないし、辛くないのに……と。

「いや、時間がかかってすまない。あのこと、なんだが……」

「……あのこと、ですか?」

 私は恥ずかしそうに切り出したジェイドさんは何のことを言っているんだろうと、きょとんとしてしまった。

「いや、その、あの……あれだ。君が初めて会った時に話していただろう」

「あ。私とようやく、肌を合わせて……もがっ!」

 私の口を慌てて大きな手が塞ぎ、ジェイドさんは慌てて周囲をきょろきょろと見回していた。

「それは、そうなんだが……何を言い出すんだ。誰に聞かれているかわからないのに、誤解されるとまずいだろう」