辺境から王都に住むようになると、もう立ち並ぶお店の数が段違いだし、行きたい店が色々と多すぎるのよね。

 ちなみに私が現在所属している教会は、様々な能力を持つ聖女にお金を惜しまない。なんでも、金銭的な問題で逃げられるくらいなら、十分なお金を持たせれば逃げないだろうという考えらしい。

 確かに、それは私も……実家が公爵家でなければ、聖女という職業を辞めようとは思えなかったかもしれない。

 だって、潤沢な給金を思えばお金の苦労なんてあるわけがなく、生まれ持っている能力のみで生きられる人生が、あまりにも|簡単な人生(イージーモード)すぎるもの。

 聖女よりも元の身分である公爵令嬢に戻りたいなんて、私くらいしか言えないかもしれない。公爵家に天啓持ちが現れるなんて、そうそうあることではないけれど……。

「ラヴィ二ア」

「あ。ジェイドさん! お疲れ様です」

 ジェイドさんは竜が居なくても、戦闘訓練は休まずに出て居る。これからは竜に騎乗しての訓練になるので、彼は一人で体力増強の訓練をするのかしら。