「そうだ。俺が竜騎士であることを諦められれば……彼女だって、今も傍に居ただろう」

「……そうですか」

 なんて言えば良いか、わからなかった。

 ふと気が付けば……夜風が冷たい。

 それからなんとなく、次の話題が出しにくくて、私は黙ったままでジェイドさんと同じように空を見上げた。

 こんな夜更けに、城の庭園で男女二人で居るってことは、あはんうふんあんなことやそんなことをしていると思われてしかるべきなのに、私たち二人ったら黙ったままで綺麗な三日月を見上げているのよ。

 いえいえ。別に……ジェイドさんと、そういう関係になりたいなんて……思ってな……うん。