……だって、隣に居る男の人が、少し前に捨てられた女性に再会し、すんごい落ち込み方をしていることが丸わかりなのだ。身を挺してでも、少し笑ってくれたら良いかなって……そう思って……つらい。

「いや……そうか。ごめん。俺を元気づけようとしたんだな。色々考え事をしていた。悪い」

 私のバカな発言の意図を正確にわかってくれているジェイドさん、ぎこちなくだけど笑顔を浮かべてくれていた。

 やさしー! 良い男ー!

「……そうですけど、元婚約者に既に相手が居れば……誰だって、傷つくと思いますよ」

 既に二人は婚約解消しているのだから、それは彼女の勝手ではある。

 けれど、彼らの場合は私が見る限りだけれど、嫌いで別れたということでもなさそうだった。

「俺は彼女の望むことが、してあげられなかった。もうこれ以上は、竜騎士であることを諦めてくれと言われても、どうしても出来なかった。ナタリアのせいではない。彼女が幸せになるのなら、それは喜ぶべきだとも思う」

「それでは、ジェイドさんのせいです……?」

 今も二人が一緒に居られなかった理由は、すべてジェイドさんの責任になってしまうのだろうか。