竜喚び聖女は捨てられた竜騎士を救いたい!

 彼の手はまるですべてを包み込んでくれるような、優しい大きな手だ。刺々しいところはまるでなく、ただ穏やかで誠実で広い心を表すよう。

 ……どうしてなの。

 顔も良くて中身も良くて、貴族出身の珍しい竜騎士だし、真面目だし。職務上の据え膳だとしても、私のことを全くいやらしい目で見ない。

 そういう事を彼に伝えておいてなんだけど、鼻の下を伸ばしていやらしい視線や言葉を向けてくる男性ならば、さっきのやっぱりなしで! と、すぐに回れ右して帰っている。

 自分はセクハラしたとしても、それを先方から返されたくはない、複雑な乙女心なのだ。自分勝手な行為であることは、重々承知しております。

 けど、こんな素敵な人がもし、幼い頃からの婚約者だったとしたら、何があっても私は……絶対に、捨てたりなんて、しないのに。

「ラヴィ二アは……」

 長い長い沈黙を破るように、ジェイドさんに唐突に名前を呼ばれて私は慌てた。

「はっ……はい?」