「すごく綺麗だ。ラヴィ二ア」

 今夜開催される夜会に行くために自室まで迎えに来てくれた正装姿のジェイドさんに褒められて、久しぶりに夜会(イブニング)ドレスを着た私は、柄にもなく照れてしまった。

「あ……ありがとうございます」

 実は先日ジェイドさんが宝飾店で購入した宝石には、私が今身につけているものも含まれていた。

 ジェイドさんから今夜開催の夜会に誘われて、当日……つまり、本日の昼に宝飾品と共にドレスも届けられた。なんて、手回しが良いの……仕事が出来るって、こういうことなの?

 私用にと首飾りに腕輪に指輪にと、一揃いの宝石に髪飾りまで受注(オーダーメイド)で造っていただき、今私はそれらを身につけていた。

 思ってもいなかった贈り物に嬉しすぎて、なんだか胸が一杯になる。

 もうっ……! もう、ジェイドさんったら、良い男なんだから~! しかも、私が貴族令嬢として夜会に出たいって言っていた話だって、ちゃんと覚えてくれてるんだから~!

 もう、ほんとうに好き!!

「そろそろ、行こうか」

 ジェイドさんがそう言ったので、近寄った私は背の高い彼の腕に手をまわした。

 ふと見上げると、窓から見える空には綺麗な月があった。ついこの前に、彼と一緒に居た時に見た三日月とは違う、満ち足りた満月だった。

 ああ……あの時の私。

 どう考えてもこの人に恋に落ちるのに、その流れに抗(あらが)おうとするなんて土台無理な話だったんだわ。

「……ゲイボルグには、どんな宝石をあげたんですか?」