教会での決まりで周囲とも平等に扱われて来たし、生まれ持った高い身分よりも『竜喚び聖女』としての自分の方が、しっくり来るのだ。

「あの……どれにしますか?」

 私には輝く宝石たちを見ても、色が違う程度にしかわからない。多分、色でも価値の高低はあるのだろうと思う。

「ラヴィ二アはどれが良いと思う?」

 質問に質問で返されてしまった。けれど、よくよく考えてみたらジェイドさんはこういった宝飾品を、当然だけど自分用に購入したことはないと思う。

 元婚約者ナタリアさんには、贈ったかもしれない……彼女とのことはあんまり考えたくないけど、店員さんとの会話に慣れているって、そういうことだものね。

 ……ナタリアさんは、良い女だった。彼女を悪くは思いたくない。

 けれど、ジェイドさんの元婚約者と思うと、説明しがたい、えも言われぬ気持ちになってしまう。私が未熟なだけだけれども。

「……うーん。それでは、これはどうでしょう? ゲイボルグはジェイドさんが大好きなので、きっと喜ぶと思います」