ジェイドさんは貴族出身なので、慣れた様子で店員に話しかけたりしていた。そんな彼の隣で緊張している私は、こういったお店に来るのは、実は初めてだった。

 何故かというと、こういった宝飾品は流石に私は聖女として貰うお金だけでは購入出来ないし、城の大広間で開かれるような夜会にも出ないのだから、一年に何度かお父様が贈ってくれる分だけで十分だったから。

「わー……綺麗な宝石。高そうですね」

 素直な感想を言った私は、机の上に並べられた光り輝く宝石を見て、ほーっと大きくため息をついた。

 綺麗でキラキラと輝いていて……ゲイボルグは、好きそうだと思う。けれど、私には宝石がこうなっているのが良いという基準がまったくわからないので、綺麗ですね……としか言えない。

「おいおい。アスティ公爵令嬢の言葉とは、とても思えないな」

 苦笑いをしているジェイドさんが言いたいことは、理解出来る。けれど、私は公爵令嬢とは言っても竜喚びの天啓持ちで、幼い頃から教会で聖女学校に通った。