「そっ……そうですよね。ごめんなさい。ジェイドさん。けど、あの場所は気流の乱れで飛べないって聞いていましたけど……ゲイボルグ……飛べましたね」

 洞窟の中で見た時よりも、かなり回復しているゲイボルグは、綺麗に空を飛んでいた。良かった。鱗が剥がれている部分はまだあるけれど……羽根も綺麗に治っている。

「ああ。あの場所は気流が乱れていて、その上に四方が岩に囲まれているんだ。だから、真っ直ぐ飛行しようと思えば、岩に身体をぶつけてしまう。上空しか空間が、空いてない。だから、真上を目指して飛べば、気流が乱れていても、身体がぶつかることはないんだ」

「あ……そういうことでしたか」

 私は大きく頷いた。あの場所に居るゲイボルグが上に飛んだからこそ、安全に抜けられた。

 私にとっては、盲点だった。ここからは絶対に逃げられまいと息巻いて自信満々だったヨシュアさんにとっても、それはそうだったかもしれない。

 竜や翼ある生き物がどうにか安定して飛行しようとすれば、あの場所は難しいのだ。