「あ。これ、穴開いてるじゃん。すげえ。これって、大型魔物が暴れても切れないのに……流石、小さくても竜ってとこかな。子竜でも、威力がすごいねえ」

 ゲイボルグが一生懸命切っていた縄を見て、感心するように言った。

「あの……私たちをどうするつもりですか。ゲイボルグはこの通りだし、私だって役には立ちません」

「いやいやいや、言ったじゃん。子竜になったからには原因があって、要するにその逆を辿れば良いんでしょ? ……俺はそういう魔法の専門家とも知り合いなんでね。どうにかすることにするよ」

「……すぐに、助けは来ます」

 ヨシュアさんはただの貴族令嬢だと思っているかもしれないけれど、私は教会所属の聖女なのだ。

 しかも、特殊天啓持ち。『竜喚び』はかなり数が少ない上に、私には竜騎士に会う竜を喚ぶという裏技もある。

 そして、私本人も忘れがちなんだけど、生家はアスティ公爵家。

 ノルドリア王国が賞金稼ぎに攫われてしまった私を、このまま放っておくなんてあり得ない。

「そうだね。俺も……そうだろうなと思うよ。竜とお姉さんが攫われたら、すぐに救出に来るんだろうねえ」

「え……?」