私の声で紡がれる、ブリューナグの意志……そっか。ジェイドさんの言葉も、彼らしくないと思って居た。

 ……これはきっと、ジェイドさんが時間稼ぎをしていたんだ。

 もうすぐゲイボルグが縄を切り終えたら、私たちは空へと投げ出される。だから、私は心の準備をしておけとゲイボルグは伝えてくれたのね。

 いきなり高所から投げ出されても、パニック起こしてしまう予感しかしないわ。ありがとう。

「竜騎士。俺は有名な賞金稼ぎヨシュア・ベルンハルト。覚えておいてくれ。申し訳ないが、ここに来る前に竜に追われた時の対策とて、既に考えている。残念だったな」

 ヨシュアさんは白い凧を見上げ、何かを操作していた。ジェイドさんの表情を見れば、険しい顔になっていた。

 だって、網の中に居る私とゲイボルグの命は、彼が握っていると言っても過言ではない。

 ゲイボルグが必死で網を切っていたけれど、あと、二本……ヨシュアさんが何かをする前に、どうか間に合って……!

「お前……絶対に、逃がさないぞ」

 ヨシュアさんが今から何かをしようとしていることに気が付いたのだろう、ジェイドさんは強い視線を向けて言い放った。