「あ! 見付けた! 俺の素材ー!!!」

 私はナタリアさんの背中を見送り、ゲイボルグを連れて先へ進もうとしていたところで、大きな声叫びを耳にして何事かと声の主を見た。

「……え?」

 私たちが歩いていたのは、外廊下ですぐそこには庭園がある。そこには、赤髪でいかにも冒険者然とした装備を身に付けた、背の高い男性が居た。

 鋭い金目と野生的(ワイルド)な雰囲気を持つ男性で、悪戯な表情に飄々とした態度がなんとも目を引く魅力的な人だった。

 ……誰? これまでに……城中では、こんな人は見た事もない。そうよ。王族が住む場だから、正装して訪れるのは当然。それなのに、いますぐ冒険に行って来ますみたいな旅装の彼がうろついていること自体、おかしいのに……。