「昨夜、部屋に着いたらすぐにベッドに倒れ込むくらいだったので……はい。これ飲んでください」

 私は二日酔いに良く効く薬の入った小袋を渡し、ジェイドさんはじっとそれを見て居た。

「悪かった。俺が部屋まで送ると、言っておいて」

 しかし、記憶が飛んでいるわけではなかった真面目なジェイドさんは、そう言って謝ってくれたので私は首を横に振った。

「あれだけ飲まされてしまえば、ああなるのは当然ですよ。それに、今日もお仕事ですよね……? ゲイボルグは私の方でお預かりします。私も一応聖女なので、行く先には警備の者もおりますから」

 教会に属する天啓を持つ聖女は、とても希少な存在なのだ。私は『竜喚び』が出来るけれど、その中でも特殊で数少ない。

 ともなれば、竜騎士団でどうしても要となってしまう『竜喚び聖女』を、大事にしないわけもない。

「ああ……そうだな。確かにラヴィ二アの言う通り、部屋の中に閉じ込めていては、可哀想だ。いくら大事でも……ゲイボルグ。今日はラヴィ二アと一緒に居てくれ。夕方には迎えに行く」