だから、あの姿のゲイボルグを隠しておく理由はわかるけれど、狭い空間にずっと居るのは気詰まりだろう。

「そうは言っても、俺は戦闘訓練もあれば……竜に乗っての飛行訓練もあるし……そうだ。ラヴィ二アがゲイボルグを連れていれば良くないか?」

 名案を思いついたと言わんばかりのジェイドさんの言葉に、私は驚いた。

「え?」

「俺と一緒ならどうしても手を離れないといけない時もあるが、ラヴィ二アと一緒であれば、目を離すこともない……それに、ゲイボルグも安心だ。良し。それが良い。そうしよう」

「別に……それは、良いですけど……」

 私は仕事中に子竜を連れていても、離れなければならない時はない。それに、ほぼ警備万全の王族の住む城で過ごすから、防犯上の安全性にも問題はなかった。

 にこにこと微笑んだジェイドさんは、確かな足取りで先へと進んだ。

 そうは見せずに相当酔っていたらしく、部屋に着いた途端、ベッドに倒れ込んで安らかな寝息を立てて眠ってしまった。

 私はこれまで見た事もなかったであろう主に驚いているゲイボルグの頭を撫でて、明日の朝、迎えに来ることを説明して自室へ戻ることにした。