「……ジェイドさんって、すっごく良い男ですね」

「今更、それに気がついたのか? 遅すぎるだろう」

 肩を竦めたジェイドさんに、私は走って抱きついた。

 ああ……良かった。あの時の判断は、あれで良かったんだ。彼を救いたいって、そう思って取った行動は間違ってなかった。

 私は白馬に乗った王子様でなくても、目の前の竜騎士と結婚したい!

「なんだか、お酒の匂いがします……」

 服から香るお酒の匂いは少しだけ飲んでいるという程度では、全くなかった。濃密なお酒の匂い。どれほどあの場所で、飲まされてしまったんだろう……。

「ああ。あれだけ酒を飲んだのだから、仕方ない……想定外に飲まされた。ラヴィ二ア。部屋へ送って行こう。何故、この方向へ?」

 私の部屋は反対方向なので、どこに行くのだとジェイドさんは不思議そうにしている。

「あ……寝る前にゲイボルグに会っておこうと思って……子竜の姿だから安全を考えて仕方ないですけど、部屋に閉じ込めっぱなしは可哀想です。きっと、寂しいんですよ。ジェイドさん」

 成竜になるまでの子竜の間は、弱いし貴重な存在のため誘拐の危険があるのだ。