私が何を言っても困った顔をするばかりで、そういう性欲もあるのかなって疑うくらいだったのに。

「先ほども言ったように、俺のことを恋愛対象ではないと言ったのは、ラヴィ二ア本人だし……これまでに女性が苦手だと言ったことは、一度もないと思うが」

 そそそ、そっか!

 この人は真面目で堅物だけど、幼い頃からずっと婚約者が居たから、女の人に慣れてないわけ……ないわけで……私の勘違いだったんだ。

「ラヴィ二ア。もうすぐ、ブリューナグがここへ来る。来てくれれば、当分近くに控えてくれるように頼むようにする……これではろくに、訓練も出来ないしな……」

「そうですっ……よね」

 そうだよ。あの面白がりの黒竜、普通の手段では喚べないんだから、そういうことになってしまうよね……!

「また、宴会の後で話をしよう。ごめん。今は人を待たせているから……そろそろ行ってくる」

 ジェイドさんは苦笑して扉を開けて、出て行った。

 おそらくだけど、あれは他の竜騎士たちの前でブリューナグを見せるようにと上の方の誰かから言われたのかもしれない。